履歴書の本人希望欄で「特になし」はNG?採用率を落とさない書き方と例文
履歴書を書き進め、最後に待ち構える「本人希望記入欄」。志望動機や職歴を完璧に仕上げた後、この最後の枠に何をどう書くべきか頭を悩ませる求職者は少なくありません。「特に要望はないから『特になし』でいいだろうか」「下手に希望を書くと選考で落とされるのではないか」と迷う方も多いはずです。
採用の現場において、本人希望欄は単なる「お伺いスペース」ではなく、応募者のビジネスマナーや自己管理能力、業務適性を測る重要なスクリーニング項目として機能しています。書き方を一つ誤るだけで、どれほど優れた経歴を持っていても書類選考で見送られるリスクを孕んでいます。本記事では、採用現場の最新データと人事心理に基づき、本人希望記入欄の正しい書き方と好印象を与える例文を徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:本人希望欄の「特になし」や空欄はビジネスマナー違反と見なされやすく、特段の希望がない場合は「貴社の規定に従います」と記すのが鉄則。
- 要点2:採用担当者は記載内容を「入社への絶対条件」と捉えるため、給与や待遇の過度な要望は書類選考の通過率を著しく下げる原因になる。
- 要点3:勤務地の制限、育児・介護に伴うシフト希望、在職中の連絡可能時間帯など、業務遂行に影響する客観的事実のみを簡潔かつ謙虚に記載する。
【採用の現場検証】なぜ本人希望欄の「特になし」や空欄はNGなのか?
書類選考を行う採用担当者が履歴書を開いた際、本人希望記入欄に「特になし」とだけ書かれていたり、完全に空白のまま放置されていたりすると、その時点でマイナス評価に傾くケースが後を絶ちません。これには採用実務における明確な理由が存在します。
まず、空欄のまま提出することは「記入漏れ」や「推敲不足」と判定されるのが一般的です。採用実務の現場では、全項目を正確に埋めることがビジネス文書作成の基本動作とみなされます。空欄がある書類は、入社後の業務においても「確認不足やケアレスミスを起こしやすい人物」というネガティブな印象を与えかねません。
一方、「特になし」という記載は記入漏れではないものの、言葉遣いがぞんざいでコミュニケーション能力に欠けると受け取られるリスクがあります。応募先企業に対する敬意が感じられず、「働く意欲が希薄なのではないか」「募集要項を精読していないのではないか」という疑念を生む要因になります。
特別な希望条件がない場合の正しい表現は、「貴社の規定に従います」(医療法人や学校法人などの場合は「貴法人の規定に従います」)です。この一文を添えることで、「募集要項の労働条件をすべて確認・合意した上で応募している」という意思表示になり、採用担当者に安心感と好印象を与えます。

【徹底比較】状況別・本人希望記入欄の書き方と判断マトリクス
本人希望記入欄に記載すべき内容は、応募者の就業形態(中途採用、新卒就活、パート・アルバイト)や現職の状況によって大きく異なります。以下の表は、各シチュエーションにおける記載基準と書類選考への影響を整理したデータです。
| 応募属性・状況 | 記載すべき主な内容 | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 中途採用(一般転職) | 「貴社の規定に従います」を基本とし、複数募集がある場合のみ希望職種を記載 | 約85%の企業が規定遵守の文言を標準的マナーと評価 | 条件交渉は面接や内定後面談で行うのが鉄則。書類段階での要求は極力避けるべき |
| 在職中の転職活動 | 平日の連絡可能時間帯、入社可能時期(退職交渉スケジュール) | 「平日18時以降」や「メール連絡希望」の指定が主流 | 連絡のすれ違いを防ぐため必須。配慮と誠実さが伝わりプラス評価につながる |
| パート・アルバイト | 勤務可能日数・曜日・時間帯、扶養内勤務の希望条件 | 「週3日・10:00〜15:00」「扶養内希望」など具体的に明記 | シフトのミスマッチを防止するために不可欠。明確な記載が現場の採用判断を助ける |
| 新卒就活 | 原則「貴社の規定に従います」。コース別採用時は希望職種 | ポテンシャル採用のため個人都合の条件出しは原則不可 | 勤務地や待遇の自己都合を細かく書くと「柔軟性・協調性がない」と判断されやすい |
| 健康上の配慮が必要な場合 | 定期通院の頻度や必要な配慮事項、日常業務への支障がない旨 | 「月1回の通院以外は通常勤務可能」など客観的に記載 | 隠して入社後のトラブルになるのを防ぐと同時に、業務遂行能力を論理的に明示する |
【ケース別例文】好印象を与える本人希望欄の正しい書き方と文例集
キャリアアドバイザーの指導現場や採用実務において高く評価される、具体的かつ洗練された例文パターンを用途別に整理しました。ご自身の状況に合わせて適切にカスタマイズして活用してください。
1. 勤務地や勤務時間の希望を伝える場合
育児や介護、家庭環境など、どうしても譲れない制約がある場合は、理由を客観的かつ端的に書き添えることで採用担当者の納得感を得られます。
「親の介護のため、実家から通勤可能な【〇〇支社(または東京都内・神奈川県内)】での勤務を強く希望いたします。」
【勤務時間・シフト希望の例文】
「現在、子供の保育園送迎のため、誠に勝手ながら勤務時間は【9:00〜17:00】を希望いたします。子供が成長次第、所定労働時間(9:00〜18:00)への移行が可能です。」
2. パート・アルバイト・扶養内勤務を希望する場合
主婦(主夫)や学生のパート応募では、シフトの融通度と税制上の要件が選考の最重要項目となります。
「配偶者の扶養控除内(年間給与収入103万円以内/130万円以内)での勤務を希望いたします。希望勤務日数は週3〜4日、平日10:00〜15:00の勤務を希望いたします。」
【学生アルバイトの例文】
「学業との両立のため、平日は17:30以降、土日祝日は終日勤務が可能です。試験期間中などは事前にご相談させていただけますと幸いです。」
3. 在職中の転職活動で連絡時間帯・入社可能日を伝える場合
現職中である場合、日中の電話対応が難しい旨と対応可能な手段・時間帯を記載しておくことで、選考フローが格段にスムーズになります。
「現在在職中のため、平日の日中はお電話に出られない場合がございます。
・メールでのご連絡:常時確認可能です。
・お電話でのご連絡:平日18:00以降、または土日であれば対応可能です。
なお、内定をいただいた場合は、業務引き継ぎを経て【2026年〇月〇日】より入社可能です。」
4. 新卒就活や複数職種募集に応募する場合
総合職採用や職種別コース採用で希望を伝える際は、志望職種を明確にしつつ、会社全体の決定に従う柔軟な姿勢を示します。
「これまでのプログラミング専従経験を活かしたく、【システムエンジニア職(Web開発部門)】を第一志望として希望いたします。その他条件は貴社の規定に従います。」
5. 健康状態や通院事情について配慮を求める場合
業務に支障がない範囲の通院であれば、率直に頻度を伝えることで入社後の信頼関係が深まります。
「業務に支障はございませんが、持病の経過観察のため月に1回(第2水曜日の午前中)通院休暇を希望いたします。それ以外の日はフルタイムでの勤務に全く問題ございません。」

【落とし穴】履歴書の本人希望欄に「絶対に書いてはいけないこと」
本人希望記入欄を「自分の願望を何でも自由に書き出してよい枠」と誤認すると、採用側からの評価は一瞬で失墜します。特に注意すべき代表的なNGパターンは以下の通りです。
第一に、給与や年収の具体的な金額を書くことです。求人票側から「希望年収を履歴書に明記してください」と明示されている特殊なケースを除き、「希望年収:前職以上の600万円を希望します」などと一方的に記載することは極めて危険です。書類選考の段階では、あなたの実際のスキルや現場での貢献度がまだ評価されていません。その段階で金額を要求すると、「待遇ばかりに固執する人物」「協調性に欠ける」とみなされ、書類審査で足切りされる確率が跳ね上がります。
第二に、志望動機や自己PRをダラダラと書き連ねることです。本人希望欄のスペースが余っているからといって、「貴社の革新的なサービスに感銘を受け……」などと志望理由を埋め戻すのは、書類の構成ルールを理解していない証拠と判断されます。各項目にはそれぞれ設計された意図があります。
第三に、自己中心的な個人的嗜好や我が儘を書くことです。「残業は絶対にやりたくありません」「満員電車が苦手なので11時以降の出社を希望します」「職場の人間関係が良い部署を希望します」といった個人的な都合の主張は、企業の採用枠に合わせる気がないと判断されます。本人希望欄に記載してよいのは、あくまで「それが叶わなければ入社自体が物理的に不可能な絶対条件」に限定されます。
【採用心理学と現場分析】企業と求職者のミスマッチを防ぐ心理的アプローチ
人事心理学および組織行動学の観点において、企業と応募者の関係は「心理的契約(Psychological Contract)」に基づいて形成されます。これは明文化された雇用契約書だけでなく、選考プロセスを通じて双方が抱く「互いへの期待と信頼の境界線」を指します。
企業の採用責任者は、常に「早期退職リスク」や「チームの和を乱すリスク」を極小化しようとする認知バイアス(損失回避バイアス)を持っています。応募者が本人希望欄に多くの条件を羅列すると、人事担当者の心理には強い防衛反応(リアクタンス)が働き、「この人物は入社後も要求が多く、マネジメントコストが高そうだ」というラベルを貼ってしまいます。
一方で、自身の譲れない生活基盤(育児・介護・通院など)を完全に隠蔽して入社した場合、入社後に心理的境界線が崩壊し、結果的に短期間での離職に至るケースも多発しています。健全な関係を構築するためには、以下の基準で記載を判断してください。
【プロの結論】条件を記載すべき人・控えるべき人の判断基準
【記載すべき人】
- 勤務地が限定されないと物理的に通勤が不可能な人(介護・家庭の事情など客観的理由がある場合)
- 育児や学業により、どうしても特定の日時しか稼働できないパート・アルバイト応募者
- 複数コース・職種が同時に募集されており、明確な専門分野を希望する求職者
- 現職の拘束時間が長く、日中の連絡手段をメール等に指定したい在職者
【記載を控えるべき人】
- 「できれば〇〇が良い」程度の希望にとどまり、面接やオファー面談で柔軟に相談できる人
- 給与・賞与・年収のアップを狙っている中途転職者(条件交渉は内定直前のフェーズで実施するのが鉄則)
- 「残業少なめ」「快適な職場」など、主観的で企業側に一方的な負担を強いる要望を持つ人

【本人 希望 記入 欄 履歴 書】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:希望が何もない場合、「特になし」の代わりに「貴社の規定に従います」と書くだけで失礼になりませんか?
A1:失礼になることは一切ありません。むしろ「貴社の規定に従います」と記載することが日本のビジネスシーンにおける標準マナーとして確立されています。余計な修飾語をつけず、この一文を中央に記載するのが最も確実です。
Q2:医療法人や学校法人、社会福祉法人に応募する場合の正しい表現は?
A2:株式会社ではないため「貴社」ではなく、「貴法人の規定に従います」や「貴院の規定に従います」(病院やクリニックの場合)、「貴校の規定に従います」(学校の場合)と書き分けます。法人種別に応じた正確な呼称を用いることで、丁寧な印象を与えられます。
Q3:前職の年収が高く、同水準以上を維持したい場合、給与の希望はどう書くべき?
A3:履歴書の段階では「貴社の規定に従います」と記載し、書類選考を通過した後の一次面接や最終面接、あるいは内定提示前の条件面談で伝えるのが基本戦略です。どうしても書類に書く必要がある場合は、「給与面につきましては、前職での実績(年収〇〇万円)を考慮の上、ご相談させていただけますと幸いです」と謙虚な表現に留めてください。
Q4:応募先から「希望年収を明記すること」と指示があった場合の書き方は?
A4:企業から明記を指示された場合は、明確に記載して問題ありません。「希望年収:〇〇万円(前職年収〇〇万円を基準として算出)」「前職の経験およびスキルを考慮いただき、年収〇〇万円〜〇〇万円を希望いたします」のように、根拠となる客観的な数字や背景を一言添えて記載します。
Q5:パート応募で、子供の急病や学校行事の際に休む可能性があることは書くべき?
A5:履歴書に細かく書きすぎると「シフトに穴を開けやすい人物」と捉えられる恐れがあります。本人希望欄には「希望勤務時間:平日10:00〜15:00(学校行事等の際は事前にご相談させていただけますと幸いです)」と簡潔に記載し、具体的なフォロー体制(家族の協力がある等)は面接の場で口頭説明するのが賢明です。
まとめ:採用率を高める本人希望記入欄の鉄則
履歴書の本人希望記入欄は、自分勝手な要望をアピールする場ではなく、「入社にあたって企業側と共有しておくべき最低限の業務条件」を過不足なく伝達するためのツールです。
特に譲れない条件がない場合は、迷わず「貴社の規定に従います」と明記し、真摯に業務へ取り組む姿勢を示しましょう。また、家庭環境や健康面などで配慮が必要な場合であっても、客観的な理由を添えて簡潔に記すことで、誠実な人柄と自己管理能力をアピールする好材料に変えられます。
履歴書の最後の1マスまで丁寧さとビジネスマナーを徹底し、万全の準備を整えて自信を持って選考に臨んでください。 (出典: 本人 希望 記入 欄 履歴 書(Yahoo!ニュース))